韓国で『しばらく暮らす旅』が再び現実味を帯びる理由: 2026年まで延長されたワーケーションビザと新しい検索傾向
2024年に導入された韓国のワーケーションビザ試験運用が2026年まで延長され、短い観光ではなく長期滞在を前提に準備する旅行者が増えています。この記事では、延長された制度の条件と、人々が実際に探している『拠点都市』の情報を整理します。
最近、韓国を訪れようとする外国人のあいだでは、「3泊4日の観光」よりも「数か月暮らしてみたい」という発想が目立つようになっています。背景にあるのは、韓国政府が外国人のリモートワーカー向けに導入したワーケーションビザの試験運用が、2024年の開始後、2026年まで延長されたことです。短期滞在で一般的な90日を超え、1年以上韓国に滞在できる可能性があるという点が、長く滞在してみたい人たちの関心を大きく引きつけています。
ここでいうワーケーションビザは、F-1-Dに分類されるデジタルノマド向けの滞在資格です。対象となるのは、外国企業に所属してリモート勤務をしている人、あるいは外国企業を自ら運営している人で、基本的には少なくとも1年以上の勤務または事業経験が必要とされています。韓国国内で働ける会社があったとしても、その会社と雇用関係を結ぶことはできません。名前の通り、仕事と滞在を両立させるためのビザですが、韓国国内での就職や営業活動を認めるものではありません。
法務部が公表した詳細条件を見ると、ハードルはそれなりに高めです。申請者は、直前年度の韓国の1人当たり国民総所得(GNI)の2倍以上に相当する所得を証明しなければなりません。さらに、犯罪経歴証明書と、1億ウォン以上を補償する医療保険の加入証明も求められます。最初の入国では1年間滞在でき、条件を満たせばさらに1回、1年間の延長が可能です。家族の帯同も認められますが、子どもの教育や配偶者の就労については別途条件があります。
この試験運用は2024年1月1日に始まりました。当初は2年間の予定でしたが、最近になって法務部が2026年末まで延長する方針を示したことで、「韓国で暮らしながら働いてみる」機会がもう一度広く開かれたという空気が生まれています。海外の韓国公館でも、必要書類や所得基準を詳しく案内するようになり、興味のある人たちは以前よりも腰を据えて準備しやすくなりました。

観光業界で「暮らすように旅する」という表現が再び使われ始めているのも、この流れと無関係ではありません。2026年の旧正月連休を前に、韓国政府は中国からだけでも最大19万人が訪れると見込んでいましたが、人気を集めたのは短い名所めぐりではなく、K-ビューティー、K-フード、K-コンテンツなどを体験できる滞在型のプログラムでした。中国北部からの韓国旅行パッケージ予約が前年の4〜5倍に増え、「韓国の日常を感じる旅」への需要が高まっているという報道も出ています。つまり、ワーケーションビザの延長は、短期観光よりも長めに滞在して生活に近い体験を求める流れと、ちょうど重なっているのです。
こうした変化は、検索ワードの傾向にも表れています。人々の関心は、単に「ワーケーションビザの必要書類は何か」という段階から、「どの都市を拠点にするのがよいか」という段階へ移りつつあります。ソウルはコワーキングスペースや交通網、国際的なコミュニティが豊富なため、今も最有力候補です。一方で、海の近くで少しゆったりした生活を送りたい人のあいだでは、釜山や済州も注目されています。自治体によっては、長期滞在者向けに宿泊や作業環境を支援するプログラムを用意しているところもあり、「どこを拠点にするか」が旅の大きな選択肢になっています。
海外の読者が混乱しやすい点として、このビザが韓国で新しく仕事を探したり、現地企業に就職したりできる資格ではないことは押さえておく必要があります。韓国で家賃を払いながら生活していても、収入源はあくまで海外の雇用主か自分の海外事業でなければなりません。勤務経験が1年未満の場合や、制度の条件に合わない働き方をしている場合は対象外になることがあります。また、必要な年収水準が韓国の1人当たりGNIの2倍程度に設定されているため、実際に申請できる人の数はまだ限られており、制度の見直しを求める声もあります。
要するに、韓国のワーケーションビザ延長は、単なる出入国制度の変更ではありません。旅の考え方そのものが変わりつつあることを示すサインです。韓国政府はデジタルノマドや長期滞在者を呼び込むことで地域経済の多様化を図ろうとしており、外国人の側も、仕事と休息を両立しながらK-カルチャーや韓国の日常をより深く体験できる機会を求めています。だからこそ、人々の関心は「どうやってビザを取るか」から、「どこでしばらく暮らしてみたいか」へと移っています。そう考えると、韓国は短期観光地というだけでなく、「一定期間住んでみたい場所」としての存在感を強めつつあると言えます。