ペットと一緒に旅する時代へ: 韓国で広がる「ペットファミリー」文化
ペットを家族の一員として考える「ペットファミリー」文化が広がるなか、韓国では旅行のスタイルや観光業のあり方も少しずつ変わっています。ペット同伴の宿泊施設やカフェ、旅行フェアが増え、ペットと旅することが新しいライフスタイルとして定着しつつあります。
最近の韓国では、ペットを連れて旅行する光景がすっかり珍しくなくなりました。犬や猫を単なる飼育動物ではなく家族の一員として考える人が増えたことで、旅行のかたちもそれに合わせて変わってきています。いわゆる「ペットファミリー」文化は、ペットと一緒に出かけることを特別なことではなく、日常の延長にあるライフスタイルとして広げつつあります。
「ペットファミリー」あるいは「ペットファム」とは、ペットを家族の一部として大切にし、一緒に時間を過ごすことを重視する人たちを指す言葉です。こうした人たちは、旅行のたびにペットを預けるのではなく、できるだけ一緒に思い出を作りたいと考えます。そのため、旅先を選ぶときも、ペット同伴が可能な宿、カフェ、散歩しやすいエリア、屋外で過ごしやすい場所が重要な条件になっています。

この変化は、韓国の観光の風景にもはっきり表れています。地域の観光機関は、ペットと一緒に利用できる宿泊施設、カフェ、体験スポットをまとめた案内を積極的に発信するようになりました。たとえば江原道では、ペット同伴で訪れやすい場所を一目で見られる旅行マップが紹介されており、ペットと旅することが一時的な流行ではなく、安定した旅行スタイルとして根づき始めていることがうかがえます。
企業側もこの流れを見逃していません。ライフスタイル系メディアやブランドは、ペットを「家族」として扱う視点を前面に出しながら、関連する特集やキャンペーンを増やしています。国際的な犬の日に合わせた企画では、ペットと一緒に行けるイベントや旅行先、養子縁組キャンペーンなどが紹介され、ペットと過ごす時間そのものが価値ある体験として描かれています。こうした発信は、ペット同伴旅行を単なる便利さではなく、感情的なつながりを深める旅として位置づけています。
特に人気を集めやすいのは、自然と街の快適さがうまく共存している地域です。海辺と散歩道がそろう束草や高城のようなエリアは、犬と一緒に歩きやすく、ペットフレンドリーなカフェや宿も多いため、継続的に人気があります。中には、ペット専用ルームやドッグパーク、ウェルカムキットを含む宿泊プランを用意するリゾートもあり、旅行中の快適さを意識したサービスが増えています。
この流れがひとつの産業になりつつあることは、ペット旅行関連の展示会や博覧会からも感じ取れます。観光地、レストラン、カフェ、ペット同伴ホテルやペンション、移動サービス、遊び場などが一堂に集まるイベントでは、ペットとの旅行に必要な情報や商品がまとめて紹介されます。こうした場は、単に商品を売るだけでなく、ペット同伴旅行が独立した市場として成長していることを示しています。
海外メディアも韓国のこの文化に注目し始めています。韓国に拠点を置く英語メディアでは、ペットを飼う世帯の多さや、動物を家族のように扱うライフスタイルの広がりがたびたび取り上げられています。釜山をはじめとする都市では、ペット同伴可能なカフェや宿泊施設、ホテルなどが増えており、なかにはペット用の寝具や食事、運動スペースを備えた部屋を用意するホテルも見られます。
この変化が進んだ背景には、いくつかの理由があります。まず、ペットを家族として考える人そのものが増えたことです。そこに、観光業界や自治体が新しい需要として注目し、関連サービスを広げてきたことが重なりました。さらに、コロナ禍以降は屋外レジャーや近距離旅行への関心が高まり、ペットと一緒に動きやすい旅の形が支持されやすくなりました。移動面でも、航空会社や鉄道会社がペット関連の規定を見直したり、専用サービスを導入したりすることで、以前より旅のハードルは下がっています。
もちろん、ペットと一緒に旅行するには守るべきルールもあります。すべての施設がすべての動物を受け入れているわけではなく、サイズや体重、行動面によって制限が設けられている場合もあります。リードの着用、排せつ物の処理、ほかの利用者や動物への配慮は基本です。韓国ではペット同伴文化が広がっているとはいえ、どこでも自由に入れるわけではありません。施設ごとに案内されるマナーやルールを事前に確認しておくことが大切です。公共交通機関や空港では、移動用キャリーの使用が必要になることも多くあります。
結局のところ、ペットと一緒に旅する文化の広がりは、韓国社会における「家族」の感覚が変わってきたことをよく表しています。地域の観光マップ、専用プラン、博覧会、イベント、宿泊施設の整備など、観光業界もその変化に応えるかたちで動いています。かつては限られた人のための選択肢だったペット同伴旅行は、いまやひとつのライフスタイルとして存在感を強めています。これから先、韓国の旅の風景はさらに多様で柔らかなものになっていきそうです。